〓 北部 ドレッドフォート 〓



緑が生い茂る北部の森の中
ラムセイ・スノウとミランダは弓を持ち、猟犬を放って狩りをしていた
(ラムセイの囲っている遊び相手の女の中の1人)
しかし狩ろうとしているのは獣ではなく、タンシーというかわいい娘で
彼女はその容姿のせいでミランダの嫉妬を買い、狩猟遊びの獲物代わりにされていた
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ミランダの放った矢はタンシーの足を射抜き彼女を追い詰める
そしてラムセイは猟犬達にねぎらいとして、命乞いをするタンシーを与えた

ラムセイとミランダの後ろには1人の小汚い男が追従していた
股間を押さえながら違和感のある走り方をする男
男の名はリーク、かつてのシオン・グレイジョイだった
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1年以上ぶりのルース・ボルトンのドレッドフォートへの帰還を出迎えるラムセイ
出征中にボルトンが結婚したフレイ家の太った娘ワルダとにこやかに挨拶を交わした
フレイ家の娘を選ぶにあたり、体重と同量の銀を渡すとウォルダー・フレイに言われ
迷わず一番太った娘を選んだボルトン
家の繁栄、地位向上に対するストイックさはタイウィンと通じるものがある
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早速シオン・グレイジョイの様子を見るため、連れて来るように言うボルトン
しかしラムセイが連れてきた男はボルトンの思っていたのとは違っていた

教育したんですよ、覚えが悪かったのですが、少し切り取りましたが・・・
こいつはバロン・グレイジョイの息子で後継ぎだぞ
我が家は千年も敵の皮を剥いできた、我が家の旗印は皮を剥がれた男です
私の旗印だお前のじゃない、お前はボルトンじゃない・・スノウ(私生児)だ
タイウィン・ラニスターは名目上は私に北部を与えたが彼はそれ以上の助力はしないだろう
鉄諸島人が
モートケイリンを保持してる限り、我が軍は南で身動きがとれないままだ

(ネックと呼ばれるウェスタロス大陸北中部のくびれた部分にある堀に囲まれた城
主要路のキングスロードが通ってるため、そこを鉄諸島人が保持している限りは
南に駐留している大軍が通れる道はなく、今回ボルトンは少数で迂回してきた)


シオンは貴重な人質でお前の玩具じゃない・・私はモートケイリンと彼を交換したかった
私が既に交渉しましたがバロン・グレイジョイは拒否しました、あの野蛮人は・・
お前は私の同意なしにバロン・グレイジョイに交渉条項を送ったのか?
あなたが私にドレッドフォート城主のように振舞えと言われたのでそうしたのです
私はグレイジョイのおかげで自分の領地をこそこそと通ってくるはめになった
私はシオンが必要だったんだ・・・完全な状態でな・・

シオンは我々の敵だった、だがリークは・・・リークは我々を裏切らない
私はお前を信用しすぎていたようだ・・・
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ボルトンにそう言われて冷たい目で睨まれ少したじろいだラムセイ
しかしラムセイはシオンが完全に服従している事をボルトンに証明しようとする

リーク、父の前で私のヒゲを剃り忘れたままでいいのか?失礼だぞ
リークに剃刀を・・・私がボルトンではないなら・・・かまいませんよね父上?


敵対勢力の重要な人質が私生児とはいえ自分の子の首筋に剃刀を当て
躊躇いもなくそのヒゲを剃っていく
拷問され続け去勢されたシオンにはもはや変な考えを起こす意思はなかった
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父上に言うんだリーク、ブランとリコン・スタークはどこにいる?
わかりません、ご主人様
お前が二人を殺してその死体をウィンターフェルに晒したんだろ
リーク、お前はスタークの少年達を殺したのか?
いいえ、ご主人様 あれは農場の少年達です
そして少年達は焼かれた・・・だから誰もわからなかった
そうです、ご主人様
スタークはずっと北部を統治してきた・・・
もしブランとリコンが生きてるなら北部は彼らの側につくでしょう
今やロブ・スタークは逝ってしまったというのに・・・


その瞬間シオンの剃刀が止まる
兄弟のように一緒に育ってきたロブの死をシオンはその時始めて聞いたのだった

あぁそうだった、ロブ・スタークは死んだんだ
すまないなリーク、彼は君の兄弟みたいなものだったのに
でも我が父上がナイフで彼の心臓を貫いたんだ・・・・・どう思う?


シオンの剃刀はしばらくラムセイの首筋で止まる
しかしすぐに何事もなかったようにまた剃り始めた

ボルトンはロックにすぐにブランとリコンの捜索を命じる
そしてブラン達の行く宛として黒の城のジョン・スノウの名前があがった
ジョン・スノウなら彼らをかくまってるかもしれない、と

もしそいつが彼らの行方を知らなくとも彼も半分はスタークです、殺したほうがいい
自分自身が半分でもボルトンだとでも言いたいのか?
とにかくお前はできるだけ兵を集めてモートケイリンへ行け
この妙な生き物(シオン)も一緒にな、何か役にたつだろう
モートを奪取するんだ、家のためにな・・・そうすればお前の地位を再考してやろう

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〓 ドラゴンストーン島 〓


夜のドラゴンストーン島の浜辺
光の神以外の宗教を信仰していた数人がメリサンドルによって火炙りにされた
中にはスタニスの妻セリースの兄もいたが、セリースはそれを止めるどころか
兄を含めた不信心な彼らが火に焼かれ、その罪が浄化されたとでも言うように
誰よりも興奮し恍惚の笑みを浮かべていた
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ブラックウォーターの戦いに負け、船や兵、その他にも失った物は多く
ドラゴンストーン島の貯蔵庫に残った食料も今やわずかだった
しかしその晩の夕食で出た肉の匂いを嗅ぎスタニスはすぐに下げさせる
神経質で好き嫌いの多いスタニスだが、嫌いな物が多すぎて逆に耐える事には慣れていた
しかしさすがに浜辺で焼かれた者達の臭いを嗅いだ後で肉料理を食べる気にはなれなかった

セリースは15年前の戦争でストームズエンドが包囲され、餓死寸前だった時の事を話す
スタニスは本をバラし、接着剤として使われていた馬の膠でスープを作りセリースに飲ませた
また別の日にはスタニスはカモメを射落とし、それを焼いて食べさせた
セリースは当時の献身的な愛にあふれたスタニスの思い出を話し懐かしむ
しかし今となってはスタニスはその話に素っ気なく相槌をうつだけだった
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話は変わり、セリースは自分の娘シリーンが手に負えないと愚痴る
シリーンの皮膚病は光の神を信じないシリーンの不信心からくるものだと思い込み
強情で言う事を聞かないシリーンは罰せられるべきだとも言い出す
光の神への信仰心が強すぎる余り、なおさら自分の娘がそれを信じない事が許せないセリース
そしてセリースは一度メリサンドルにシリーンと話をしてもらおうとする

その夜、いつもの暗い塔の部屋で寝ようとしていたシリーンの部屋にメリサンドルが現れる
今夜の浜辺で起こった事を理解していたシリーンはメリサンドルを警戒する

アクセル卿は私の叔父様だった、彼はいつも私に優しくしてくれたわ
彼らはもっと良い場所へ行ったのよ、火が彼らのこの世界での罪を浄化したの
でも彼らは悲鳴をあげていたわ
女性が子供を産む時も悲鳴をあげるわ・・・その後喜びに満たされるのよ
出産した女性はその後、灰と骨にならないわ
抗言の多い子ね・・・子供の頃の私みたい・・・私はお姫様じゃなかったけど
これ(皮膚病)もなかったでしょ
そうね・・・でも違う形では苦しみ耐えてきたわよ
あなたは神の何を知ってるのかしら?

七角形の星(女性向けの七神教の本)は読んだわ
嘘と作り話ね、セプトン(七神教の司祭)は七つの神達がいるなんて言うけど・・
光の神は違うわ・・・あるのは愛と喜びだけよ
そして闇の神は、不幸と恐怖・・・終わらない戦い

七つの天国も、七つの地獄もないの?
地獄は一つしかないわお姫様・・・私達が今生きてる所がそうよ
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〓 壁の北 〓


壁の北の森の中、木陰から距離をつめて鹿に襲い掛かるダイアウルフ
そして鹿を仕留め貪欲な息遣いで食らいつこうとした
その瞬間ホードーの声が聞こえ、ブランはサマーの視点から引き戻された

数時間もの間ワーグ能力でサマーに入っていたブラン
やっと鹿を仕留め空腹を満たせると思った矢先に起こされイラつく
そして不機嫌なブランはミーラからパンを奪い獣のように食べ始めた
そんなブランを見てジョージェンとミーラが言う
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ダイアウルフの中で食事をしたとしても実際の君の空腹は満たされないよ
サマーの中に長時間いる事は危険なんだ・・・君はダイアウルフじゃないだろブラン
走って飛んで狩りをして楽しいだろ・・・病み付きになるのもわかる
でもサマーの中に長くいすぎると、君は人間という物を忘れてしまうだろう

あなたは私達を忘れてしまうのよ・・・ブラン
そしてあなたのお父様やお母様・・・お兄様、お姉さま・・・ウィンターフェルも・・
そしてあなた自身を・・・私達があなたを失うのは全てを失うという事なの




やがて一行は顔の掘られたウィアウッドの木を見つける
ブランは何かを感じ、ホードーに抱えられ木の前まで行く
そしてウィアウッドに触れた瞬間ワーグ能力で様々な物が見え、声が聞こえた

「木の下で私を見ろ・・・北だ」

そしてブランは自分達がどこへ向かうべきなのかわかったと言う
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〓 キングスランディング 〓



前の手より良いんじゃないか、そう思うだろポッド?
食べないのかい?私の妻は痩せ細り、そして兄は飢え死のうとしている
兄さんが無くしたのは手だろ、胃じゃない
猪肉はどうかな、ロバートが猪に殺られてからサーセイはこれに目がなくてね
乾杯しよう、誇り高きラニスターの子達・・ドワーフ、手無し、そしてキチガイババアに


食欲のないジェイミーを元気付けようと食事に誘ったティリオン
皮肉たっぷりの話に乗せられて乾杯のゴブレットを取ろうとしジェイミーだったが
義手がぶつかりテーブルにワインがこぼれた
まともに食事もできない自分が情けなく、片付けようとするポドリックを追い払う
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俺はもう戦えない・・・
左手はどうだい
剣を握る事はできるが何もかも感覚が違う・・・これでどう王を守れと・・・
自分のケツを拭く事さえ困難だというのに

兄さんは今は司令官だ、他の人間に戦うよう命令すればいい
俺は王殺しだ・・もし俺が鳩も殺せないと知れれば・・

自分の手の代わりになるような、文字通り右腕役は必要だった
しかしいずれにせよジェイミーが戦えない事が誰かに知れる事は望ましくなかった
ある程度は左手で戦えるようになるために鍛えなければならず
そして鍛えるにしても誰か口が堅く、剣の腕の立つ練習相手がいる

たまたま私はそういう人間を1人知っているよ




ティリオンが紹介した練習相手を小さい波止場で待つジェイミー
そこにやってきたのはやはりブロンだった
その波止場は人が来る事もなく、波で音が消されるので秘密特訓には最適で
ブロンは喘ぎ声のうるさいレイグッド夫人と不倫する時に使用していた

ジェイミーはブロンに練習代の金を渡し、早速新しいヴァリリア鋼の剣を抜く
しかし切れ味の良すぎる剣同士で練習をするとブロンがジェイミーを斬る事になり
今後俺に金を払う者がいなくなるとブロンは言い、用意してきたなまくら剣を出す

二人は剣を打ち合い始めるが、やはりジェイミーの動きはぎこちなく
体のバランスも取れてないため体当たりされると簡単によろけた
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ティリオンとシェイの関係をサーセイの侍女に知られた事
そして侍女がその事をサーセイに報告した事もヴァリスは間者を通して既に掴んでいた
再三シェイに外国へ逃げるように忠告してきたヴァリスとティリオンだったが
シェイは今までそれを聞こうとはせず、そして起こるべくして最悪の事態は起こった
宮廷に連れ込んだ娼婦は吊るす、とティリオンを脅したタイウィン
タイウィンは意味の無い脅しはせず、やると言えば必ずやる男
サーセイからタイウィンへと話が伝わればタイウィンは容赦なくシェイを吊るすだろう

国をまともにしたいという共通の考えからティリオンに協力してきたヴァリスだったが
さすがにタイウィン相手に嘘で誤魔化すリスクは今回ばかりは負えず
エッソスの友人にシェイをかくまって貰うくらいの事はやると言う
とにかくタイウィンが動く前にシェイを逃がすしかなく、事態は急を要していた
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ジョフリーの結婚式当日
挙式の前にジョフリーへの結婚のお祝いを贈る催しが行われていた
マージェリーの父親でオレナの息子のハイガーデンの当主
メイス・タイレルも首都に参じ、ジョフリーに豪華な金の高杯を贈る
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催し会場にはサンサの侍女として働いていたシェイも手伝っていて
サーセイはタイウィンにあれが例の娼婦だと耳打ちする
”結婚式の前に彼女を王の手の塔へ連れてくるんだ
タイウィンがそう言ったのが聞こえ、ティリオンの不安は高まる

そうしてる間にティリオンがプレゼントを贈る番がきて
ポドリックはジョフリーの前に大きく分厚い本を置いた
【Live of Four Kings】と題されたその本はかつてのグランドメイスターケイスによって
若きドラゴンと呼ばれた勇敢な王ダエロンを初め4人のターガリエンの王について書かれた物で
王たる者はこれを読むべきとティリオンはその本をジョフリーに贈った

ジョフリーはしばらく考え、そしてティリオンに言う
戦争には勝利した今、英知のために時間を割くべきかもしれない・・ありがとう叔父上
結婚式当日を向かえ落ち着いたのか、ジョフリーは妙に素直に感謝の言葉を言う


続いてタイウィンが用意した贈り物がジョフリーの前に置かれる
それはジェイミーの剣と同様にヴァリリア鋼で作られた剣のもう一本だった
ジョフリーは先程と打って変わって目を輝かし、剣を抜いて振り回し喜ぶ
そしてその切れ味を試すために先程ティリオンが送った分厚い本をぶった斬った
見せかけでもティリオンに感謝した事での鬱憤を晴らすように何度も何度も斬りつける
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そしてスターク家の大剣アイスを溶かし作られたその剣は
【Widow's Wail 未亡人の嘆き】と名をつけられた

これを使えばいつでも何でもネッドスタークの首のようになるぞ
ジョフリーは浮かれながらサンサのいる前でそう言った
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ティリオンはその後すぐに自室に戻った
そしていつものようにシェイがティリオンに会いに部屋に入ってきた
しかしティリオンはシェイの方を振り向こうともせず拒絶する

どうしたの、私の獅子様
私をそんな風に呼ばないでくれ・・申し訳ないがこれ以上の交友関係は続けられない
交友関係?
ペントス行きの船が船着場で待っている・・・もちろん君のための船室もある
狭海を越えれば家も召使いも用意してある

何の事よ
私は概婚者だ、君も良く知ってる通り私の妻は酷い苦痛を耐え忍んできた
これ以上の苦痛を私のせいで与えたくない

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彼女はあなたを求めてなんかいないわ・・・あなたもそう
真っ当であらなければ・・・彼女や・・いずれできる子供達に対しても
何を恐れてるの?・・・あなたの父や姉が怖いのね・・彼らからずっと逃げ続けるの?
何も恐れてはいない・・・君を逃がしたいんだ・・・シェイ
私は彼らなんか怖くないし逃げもしないわ・・一緒に戦えばいいじゃない
言ったでしょ・・・私はあなたのもの、あなたは私のもの


お前は娼婦だろ!
サンサは我が子を産むにふさわしいが、お前は違う
私が娼婦を愛する事などない・・・娼婦と子供を作る事などない・・
お前はどれだけの男と寝てきた?五百か?五千か?

・・・あなたは何人の娼婦と寝たのよ・・?
私は娼婦達と楽しい時間を過ごしてきた・・・とりわけ君との時間は楽しかった
だがもう終わりだ・・・ペントスで穏やかな生活を過ごしてくれ・・


タイウィンにシェイの事がバレた以上、もうティリオンに選択肢はなかった
ただ一刻も早く無事にシェイを国外に逃がす事だけが唯一できる事
ティリオンは気持ちを偽りシェイを罵って突き放し、ブロンに船着場まで連れて行かせた
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右下の【続きを読む】からロイヤルウェディング↓





〓 パープルウェディング 〓




ティリオンとサンサの結婚式と同じようにジョフリーの結婚式もベイラー大聖堂で行われた
メイス・タイレルが美しく着飾ったマージェリーをエスコートしバージンロードを歩く
幸せそうな笑顔でキスをし夫婦となったジョフリーとマージェリー
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2年前はジョフリーと結婚し王妃になる事を夢見ていたサンサ
かつて憧れていたその光景を複雑な心境で見ていたが
少なくとも今マージェリーのいる地位にかつてのような憧れはもうなかった
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結婚式の後はレッドキープの庭で盛大な宴が開かれ
出席者の席には豪華な食べ物が並び、そこかしこで芸人が芸を披露し出席者を楽しませていた
その行き過ぎた規模と豪華さに不満そうなタイウィン
しかしこの結婚式は新婦側のタイレル家が相当の金を出してるので(通常は新郎全額負担)
文句を言わず素直に楽しめばいいとタイウィンを諭す豪快なオレナ

王国は今回の戦争で更にブラボスの鉄銀行から借金をしたであろう事は明白だった
ラニスター家と同じように、鉄銀行も手段を選ばず借した金は回収する事で有名だったが
タイウィンはその事は問題視していないとオレナに言う
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ティリオンも宴に向かいながらブロンにちゃんとシェイの船出を確認したのかしつこく聞く
いつも通りの能天気なブロンの受け答えだが、今回ばかりは余計にティリオンの不安を煽った

新婦の家族が座るメインテーブルではジョフリーが退屈そうに芸人達を見ていた
そのテーブルの端で浮かない顔のサンサに話しかけるオレナ
言う機会がなかったけど、あなたのお兄さんの事は残念だったわね
戦争は戦争だけど・・・結婚式でだったなんて・・・恐ろしい事だわ
どんな魔物がそんな事を・・・・そんなに結婚式を恐ろしいものにさせたいのかしらね
多分あなたの貧乏な夫がラバと最後の靴を売ったなら
彼はきっとあなたをハイガーデン観光に送り出してくれるようになるわ
戦争はもう終わったし平和が訪れる、そしたら観光するのも悪くないわよ
お腹がすいたのでそろそろ失礼するわね、払った分は食べなくちゃ

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芸人の退屈な歌にイライラするジョフリー
空気を変えようとマージェリーは宴の挨拶をかってでる
こんな素敵な食事や飲み物が頂けて私達は幸せです
でもそれは我々だけの幸せだけじゃありません
先の戦争の終わりをもたらせてくれた神に感謝します
ジョフリー王はこの宴の残り物を街の貧困層に与える事を決定されました
"

出席者からは拍手が起き、ジョフリーもまんざらではない笑顔
意外にもサーセイはマージェリーに駆け寄りその慈善活動を称えキスをする
ついにマージェリーを認めたのか、それとも出席者向けのアピールなのか
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和む会場の隅からロラスが視線を合わせていたのはオブリン・マーテル
どこかエロい意味深な視線はやはり同じ性的嗜好なのか
そしてロラスは目配せに夢中だったせいで後ろにいたジェイミーにぶつかる
申し訳ないサージェイミー
問題ないさ・・君の姉君はとても美しいな・・
あなたの姉君も
そうだな・・・君も(サーセイとの)結婚式が待ち遠しいかな?
ええ・・・とても・・
どちらの父親もその後の展望のほうに懸命になってるが
全くです
彼ら(親同士で)が結婚すればいいのにな

もし君がサーセイと結婚したなら、彼女は寝てる君を殺すだろうな
なんとか彼女を孕ませたとしても、彼女はその子が産声をあげる前に殺すだろう
幸いな事にそんな事は起こらない・・・・君は彼女と結婚できないからな

あんただってそうだろう

親同士が決めた事でロラスもサーセイも望んではいない結婚だったが
そうとわかってはいてもジェイミーは黙ってはいられなかった
しかしロラスはそんなジェイミーの嫉妬を軽くいなして去っていった
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メインテーブルではブリエン・タースが挨拶にやってきていた
My king,My queenと会釈したブリエンにLady Brienneと返すマージェリー
しかしブリエンは戦士としてありたいので(Lady 婦人)という呼ばれ方を嫌がる
そして二人の結婚を祝い、帰ろうとした所にサーセイがブリエンを呼び止める
セルウィン・タース卿のご息女ですってね
あなたが望む望まないに関わらずその家柄があなたをレディとさせるのよ

仰せの通りです、陛下
あなたには感謝してるのよ、私の弟を無事キングスランディングへ戻してくれたわ
本当の所は彼には助けて頂いたのです、陛下・・・・何度も
彼が?・・初耳だわ・・
そんなに面白い話でもないので・・畏れ多いです
あなたには魅力的な話が沢山あるでしょ・・・レンリー・バラシオンに仕えて
ケイトリン・スタークに仕え・・・そして私の弟にも・・
好きな主君や夫人に仕えて、野営地を転々とするのはさぞ楽しいでしょうね

私はあなたの弟君には仕えてはおりません、陛下
でも彼を愛してるわね

サーセイにそう言われたブリエン
自分でも気付いてなかった確信を疲れたかのように固まる
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ブリエンの反応、そして自分の知らないブリエンとジェイミーとの関係を知り
嫉妬で苛立ちを押さえきれないサーセイ
侍女にセクハラをしようとしていたパイセルを見つけ、その苛立ちをぶつけるように罵る
あなたが私の前で吐く息すら苛立たしいわ、だから今すぐ目の前から消えて欲しいの
そしてキッチンへ行って宴の残り物は全て犬小屋に持っていくように彼らに指示しなさい
残り物は全て犬の餌にするの・・わかったわね


やはりマージェリーの慈善活動を不快に思っていたサーセイ
パイセルを追い払い、マージェリーの慈善活動も阻止し、憂さを晴らして笑みを浮かべる
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珍しく機嫌がよさそうなサーセイに話かけるタイウィン
するとそこにオブリン・マーテルとエラリア・サンドが通りかかる
サンドはドーンでの私生児につく苗字(北部でいうスノウ)で
サーセイはドーンの私生児は始めて見たと少し見下したように言う

私生児は情熱から生まれ出た物でしょう?ドーンでは彼らを蔑んだりはしない
あらそうなの、ずいぶん寛容なのね
当たり前の対応でしょうレディサーセイ、統治者の義務の放棄になる
王族を長く続けてると性格が捻じ曲がってしまうようだな

わかってないようねプリンスオブリン
あなたの兄が結婚式に出席できなかった事は恥ずべき事なのよ

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攻撃的で熱しやすい二人の会話に割って入ったタイウィン
しかしさらに会話は激しくなっていく

彼に宜しくお伝えください、運がよければ通風もよくなりやがて歩けるでしょう
贅沢病と言われてるらしいですが、なぜかあなたは患ってないですね
我々の土地での高貴な者達は、ドーンのような生活は楽しめないのでね
何処の人間も相違はありますとも
どこぞの高貴な者達は身分の低い者達に冷たかったり
またある場所では女子供を犯し殺すのを胸クソ悪く思う・・・
しかし幸運ですよ前執政の女王陛下、あなたの娘ミアセラが送られた土地は後者の方だ


姉とその子達が殺された事の恨みを忘れていない事を遠まわしに伝えるオブリン
怒りが抑えきれず顔に出るオブリン、一方タイウィンは終始笑顔で余裕を見せる
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その時、突然ジョフリーが立ち上がり祝宴会場の注目を集める
皆のもの、静かに!今日は沢山の娯楽があった
だが王の結婚式は娯楽ではない、歴史だ・・・我らの歴史を見つめなおす時がきたのだ
諸君・・・ご覧あれ!
ジョフリー王!レンリー、スタニス、ロブ・スターク、バロン・グレイジョイ
五王の戦いだ!


ジョフリーの合図で大きなハリボテのライオンの口が開いた
すると中からそれぞれの王に扮したドワーフが現れ、コミカルに戦い劇を始めた
鹿の角をつけた金色の獅子乗ったジョフリー役、金髪の人形(ロラス?)に乗ったレンリー役
メリサンドルに乗ったスタニス役、頭が狼になっているロブ役、イカに乗ったバロン役
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それぞれがステージやテーブルを駆け回り出席者の拍手を浴びる
大半の出席者は笑っていたが、同じドワーフが見せ物にされて気分の悪いティリオン
そんなティリオンの反応を見てジョフリーは最高に満足気

レンリーの男色嗜好を揶揄するように、レンリー役は尻を叩かれ飛び上がる
それを診て元妻のマージェリーの顔からは笑顔が消え、ロラスは席を立ち会場から去る

北の王!北の王!と叫ぶ狼の顔をつけたロブ役
2年前に別れたきりロブには会っておらず、サンサは北の王となったロブの姿は知らない
しかしその似ても似つかないロブ役のドワーフを見て動揺するサンサ
ジョフリー役が槍でロブ役の頭を突くと、狼の被り物がステージに転がる
しかしロブ役のドワーフの頭には血を模した赤いフードだけで顔は無かった


終始大爆笑のジョフリーとは対照的にオレナ、ヴァリス、サンサ等はショックを隠せない
最後にはジョフリー役が勝利し、五王の戦いの劇は締められた

良い戦いだった、さあ優勝者への賞金を・・
と言いたい所だが、まだ優勝者じゃない・・・真の優勝者は全ての挑戦者を退けないとな
他にきっと挑戦者がいるはずだ、我が統治に歯向かう者が・・・
叔父上?・・・挑戦してみては?・・・彼らは予備の衣装を持ってるはずだ


同じ戦いはもう十分です陛下、私の顔の傷に留めておきたい
あなたが彼と戦ってはどうです?
前王の手の証言として言わせていただくと
この劇は戦場でのあなたの勇敢さを偽造したまがい物でしかない

新しいヴァリリア鋼の剣を持ちステージへ降りていただいて
真の王がどうやって王座を勝ち取ったか皆に見せて頂きたい
しかしお気をつけください・・・このキャラ(ジョフリー役)は明らかに欲に狂っています
王にとっては新婚初夜の前にタマを失う悲劇となりかねない


ティリオンを見せ物にし笑ってやろうと企んでいたジョフリー
しかし実際のブラックウォーターの戦いで自分が逃げ出した事を引き合いに出され
戦争の勝利者と自負してた自尊心が傷つけられ怒りで固まる
ティリオンとジョフリーの言い争いはこれまでに何度もあったが
自分が主役であるはずの日に多くの出席者の前で恥をかかされた事はなかった
静まる祝宴会場の空気の中、ジョフリーはワインが入ったゴブレットを持ち
ティリオンの頭の上からそれを流しかける

上等な年代物だな・・・こぼすにはもったいない
こぼしたんじゃない・・・
こちらへ戻ってきて私の愛しい人、私の父の乾杯の挨拶の時間よ
ワインが空なのにどうやって乾杯しろと?・・・
叔父上、私のワイン継ぎ役になってくれ・・・あんたは戦うには臆病すぎるようだ

これはこれは名誉ある役を頂いた
名誉なものか・・・
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マージェリーが場を収めようとするが、ジョフリーはティリオンに絡み続ける
仕方なくティリオンはワインを継ぐために前に出た
しかしジョフリーはティリオンに渡す直前でゴブレットを落とす
さらにティリオンが拾おうとしたゴブレットを蹴り飛ばした
見かねたサンサはゴブレットを拾いティリオンに手渡す
ティリオンはゴブレットにワインを注ぎ、それをジョフリーに手渡そうとする
しかしジョフリーはティリオンを見下ろし、それを受け取ろうとはしない

跪くんだ・・・王の前だぞ・・・・跪け・・・跪けと言ってるんだ!!
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しかしティリオンは跪かず、二人は睨み合ったまま一触即発
その時、マージェリーが立ち上がって叫んだ

パイが来たわ!!

出席者は立ち上がり、拍手で巨大なパイを迎える
緊張は解け、仕方なくジョフリーはティリオンの手からゴブレットを奪い取った
ジョフリーは剣を抜き苛立ちをぶつけるようにパイに振りおろす
するとパイが割れ、中から白い鳩が飛び立った
ジョフリーは拍手喝采を浴び、マージェリーにパイを食べさせてもらって笑顔が戻る
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ティリオンとサンサはその隙を見て席を立ち、その場を離れようとする
しかしジョフリーの怒りは収まっていなかった

叔父上・・・どこへ行く気で?・・・あんたは私のワイン継ぎ役だろ?
濡れた服を着替えに行くつもりだったんですが、陛下
いやいやそのままでいいんだ問題ない・・・・ワインを注いでくれ
早くしてくれ、パイがパサパサで飲み込めないだろ


サンサを連れて立ち去ろうとした所を呼び止められ
ティリオンは先程と同じようにワインの入ったゴブレットをジョフリーに渡す

陛下、恐れ入りますが我が妻サンサがとても疲れてるので・・・
ダメだ、ここに・・いる・・ん・・だ・・
陛下?
問題・・な・・い・・・

ジョフリーは急に何度も咳き込んだ
そして呼吸ができなくなり、ついには壇上から崩れ落ち倒れた
嘔吐しながらのたうちまわるジョフリーに騒然となる祝宴会場
出席者をかきわけ実の父親のジェイミーが駆け寄り
そしてサーセイもマージェリーを押しのけてジョフリーに駆け寄る
抱きかかえるサーセイの腕の中で、ジョフリーの顔はみるみる内に血の気が引いていく
もがき苦しみ、泡を吹き、鼻からは血が垂れ出す
やがて呼吸は止まり、ジョフリーは動かなくなった
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ジョフリーの飲んだゴブレットを拾い上げていたティリオン
それを見てサーセイはティリオンが毒を仕込んだのだと叫び訴える

彼よ・・・彼が私の息子に毒を仕込んだのよ・・・捕らえて・・・・捕らえなさい!
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祝宴会場の全員がジョフリーを見ていたその時
物陰から道化として芸人に混ざっていたドントスがサンサに声をかけていた
今すぐ付いてきて下さい、生きたければ逃げるしかない
期せずやってきた好機
全員がジョフリーに意識をとられている内にドントスはサンサを逃がそうと動いていた
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